随想リレー2007 「別所と共に15年」 壷坂 昭夫 先生

 長いハチマキ、上半身ハダカ、白の短パン姿が勇壮な太鼓の音に連動して躍動する。「別所体操」だ。
クラス対抗リレーと共に体育祭の華である。(残念ながら、今はやっていないようだが)
これをやり遂げると、1年男子生徒は中学生気分が抜け、本当の意味での別所高校生に成長する。

 しんどけれども、やり終えた時に何らかを感じ、何かが残る。そんな満足感や達成感が味わえる活動を生徒と一体となってやりたい。
そんな思いで、様々なプログラムを仲間の先生方と作り上げていった創立当初-今、思い起こしても強烈な印象です。

 チョーク1本ない「無」の状態から教育内容は勿論のこと、学校環境の整備まで、やるべきことは山ほどあったが、意気軒昂で充実した毎日であった。

 今でも学校を訪問し、裏山の稜線を眺めれば、「耐寒登山」のコース設定の為、山々を走り回ったことを思い起こし、グランドに立てば、「テニス・コートをどう配置するか」、「バックネットはどこが良いか」等々、思案した様々のことを思い出します。

 当時、在職した職員間の雰囲気も良く、よく仕事をし、よく遊び、よく議論する風通しの良い職員集団であった。
これも良き思い出です。

 そんなゼロからのスタートに参加させていただき、お世話になった15年の歳月は、私の宝物です。

生徒諸君に教え・教えられ、教師として、又、人間として鍛えられ、成長させていただいたことに感謝の気持ちで一杯です。

 別所高校の思い出は、それがあまりにインパクトが強かった故に、草創期に集中しがちですが、在職15年の後半で言えば、「生徒指導」に関することになると思います。

 今でも目を閉じれば、当時の指導した生徒の顔が浮かんできます。
退学していった生徒、謹慎中家庭訪問をし、深夜まで話しこんだ生徒等々です。

 多感な高校時代は、理想と現実のはざまでゆれ動きながら、大人への階段を登って行く。
その過程で、失敗や間違いを起こすこともあり、それを是正し、正しい軌道に導く手助けをするのが、過程や地域社会、そして、教師の役割だと思う。
その為に、時には厳しければきびしい程、やさしさや暖かさ、そしてその生徒を真底思う気持ちが不可欠です。

 そんな事を考えると、私はどうだったのかと反省しきりである。馬鹿みたいに意気がって叱りつけてはいなかったか。
生徒の言い分も聞かず、頭ごなしに語気を荒げてはいなかったかと、今になって振り返れば、身の縮む思いです。

ただ言えることは、「生徒を何とかシャンとさせよう!」、そして「別所高校を良い学校に!」と強く思い、行動していたことは確かである。
間違いはこれに免じて許して欲しいと願っています。

 15年間、生徒諸君と向き合ってきた中で、別所高校生の人間的魅力を強く感じたこともしばしばあった。
他に対する「やさしさ」、「思いやり」です。
身勝手で傲慢な人が目に付く現代社会で、人と人とが支えあう気持ちをいつまでも大切にして欲しいです。

 別所を離れて、相当の年月が経ちましたが、私にとって、別所高校は今でも常に気になる、特別な存在です。

 姫路別所高校に栄光あれ!

 OB諸氏、そして、在籍生徒諸君に幸多からんことを!

(「会報 友城2007」『随想リレー』より)

【略歴】
 在任期間: 昭和50年04月01日~平成02年03月31日
クラブ顧問: バレーボール部 (昭和51年度~平成02年度)